元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

情報開示請求をした話

八洲学園大学で司書資格取得のための勉強中

情報開示が課題として出されたことがありました

5年以上前のことなので変わっていることがあるかもしれませんし

情報開示の細かい手順は

開示請求先によっても変わってくるかもしれないと思いますが

今日はそのときのことを思い出して書いてみようと思います


日本で情報公開制度に関する法律が施行されたのは

2001年4月1日で

情報公開の歴史はまだ浅いものです


始まってしばらくしてから

入試情報の開示についてのニュースをよく見かけるようになったと

記憶しています


私が情報開示したときは

2011年の東日本大震災の影響が

色濃かった時でした


以下、情報開示請求請求から開示されるまでを

時系列で記します

 

目次

 

1,情報開示する文書の特定


自分が知りたいことに関する文書がどこにあるのか

予めわかっていればいいですが

その文書自体があるか無いかもわからない時もあります


レポート提出の期限が定められたいたので

予め特定できた文書の開示を請求することにしました


また、開示された文書を見にいくのに

遠いところでは困るので

住んでいる自治体に請求できる件にしようと思いました


私が調べようと思ったのは

東日本大震災後子どもの給食に使われている野菜の放射能の値を

検査するときの費用を誰が負担しているのかということでした

国なのか、自治体なのか、東電なのか

当時、私の住む県では毎日検査されていたので

素朴に沸き上がった疑問でした


自治体の行政目録文書検索

自治体のWEBサイトで「放射能検査」「費用」の

2つのワードで検索をかけました

その結果

「食品衛生検査所における放射性物質検査の用に供する

食品等の確保のための費用負担について 放射能検査」

という保存期間5年の文書がヒットしました

調べたいと思った「検査の費用」ではなく

検査に使う「検査に使う食品の購入費用」の文書でしたが

これも検査費用の一部にはなるので

この文書を開示請求することにしました


多分、実際に開示請求したいと思う事柄がある訳でなく

課題をこなすための開示請求だとすれば

この「文書の特定」が1番ハードルが高いところだと思います

 

文書を特定できないとき

もし、知りたいことがあるが、文書を特定出来ない時には

開示請求書の「請求する行政文書の名称等」とか

「行政文書の名称又は内容」といった欄に

出来るだけ詳しく内容を書いて請求します

ただその場合、必ずしも該当する文書があるとは限らないので

該当する文書が無いと返答を受ける可能性があります

 

2.開示請求

開示請求書は自治体や官庁など、それぞれに

様式がありPDFやワード文書の形で閲覧でき

印刷できるようになっていると思います

 

私は自治体の電子申請サービスを利用することにしました

自治体の電子申請サービスに登録をし

メールで開示請求をしました

翌日に申請の審査が終了したという自動メールを受け取りました

そのメールには申請状況の紹介先のURLが付記されていました


3.申請結果の確認

申請状況の紹介先で「申請許可」となっているのを確認しました


4.閲覧日の確定

10日後、文書を保管している機関から電話があり閲覧日を決めました


5.開示決定通知書を受け取る

閲覧日の前に「一部開示決定通知書」が郵送されてきました

非開示となっていたのは「水産物の出荷地・荷主」

「青果物の出荷者・産地コード」などで

非開示の理由はかいつまんで記すと

「開示することにより当該法人の財産権が侵害される恐れがある」

「当該法人が他の事業者との競争で不利益を被る恐れがある」

でした


6.閲覧

庁舎の間仕切りで覆われたテーブル席で

スーツを着た男性が二人待たれていて

ちょっと緊張する雰囲気がありました

「ご希望されたものかはわかりませんが」

と言いながら黒塗りだらけの文書を提示されました

私が見たいと覆っていた「費用の請求」については黒塗りされていなかったので

コピーをお願いしました

私はコピー代を納付するために銀行へ行きました


ところで、このコピーですが

開示請求書にコピーを希望するか記入する欄があった場合

文書のページ数が予めわかっていない場合に希望するのはやめた方がいいです

1000ページに及ぶ文書などもあるそうなので

未記入にしておくと、「閲覧した時に決定する」としている自治体もあるし

最近では「電子媒体での記録」などの項目もあるようです


7.結果

検査に使用する食品の購入費用は、自治体が負担したことがわかりました

半年で70万円ほどの費用がかかっていました


また、情報開示した文書を読むと


この検査の目的は

放射能の新基準値が施行されることを踏まえ」

「出荷制限の解除条件を明確にするため」とあり

文書の発行者は厚生労働省になっていました


つまりこの検査は

「市民の安全のために」自治体で自主的に行われた検査ではなく

「出荷制限解除」のために、厚生労働省の方からの指示で行われた

検査だったことがわかり

「新基準値」を作るための「やらせ」のように感じてしまいました

 

ただ、自治体が負担しているとわかっただけでは

レポートとしては不足している気がしたので

更にインターネットを利用して

他の自治体ではどのようになっているのかを調べたところ

東電に損害賠償請求をしている自治体が結構あることがわかりました

更に調べてみると私の住んでいる自治体でも

東電に損害賠償請求していることがわかりました


そうなると、東電には賠償能力があるのかな

ということが疑問になってきますよね

東電を解体することも検討されたことはあるようですが

東電の解体はその影響が大きすぎるので

国はこれを支援する組織や体制などをいろいろ作ったことも

わかりました


つまり国主体の

壮大な自転車操業の中に私たちが組み込まれている

という構図が浮き上がってきたのでした


もう一度こんな大事故が繰り返されたら

自転車操業も立ち行かなくなるのではと不安になりました


このような授業の課題として出されて行った

たった一つの情報開示でも

自分が知らなかった、想像だにしなかった

社会の裏側を見たように思いました


この文書も保管期間の5年間が過ぎ

今ではこの文書を通じて私が知ったこと

思ったことも

今は知る術がないと思い

ブログに記すことにしました


読んで下さった皆様

ありがとうございました

 

 

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