元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

LOCKJAWに気をつけて

破傷風と言う感染症をご存じでしょうか

私が育ったところは破傷風が風土病に指定されていたので

子どもの頃 予防接種を受けました

 

1968年生まれ以降だと

予防接種のスケジュールが組み込まれ

摂取歴があるそうです

今は3種混合か

ポリオを含めて4種混合として

子どもの頃に打つことになっているそう

 

小説だと三木卓の「震える舌」があります

 

代表的な症状は口が開かなくなること

英語では「tetanus」と言うのですが

通称では「lockjaw」

直訳すると「鍵のかかった顎」「顎に鍵をかける」でしょうか

 

2021年本屋大賞アメリカの小説「ザリガニの鳴くところ」にも

「lockjaw」という言葉が出てきます



この破傷風に3年前家族がなりました

運よく助かったのですが

何で具合が悪いのかわからないままに症状が悪化していき

集中治療室に入る前には

体が鋼鉄のように硬くなっていました

今思い返すと骨が折れるところまでいかなくて本当に良かった

片手に麻痺は残りましたが…

 

この病気の恐ろしさを目の当たりにし

しばらくは泥付きの野菜を触るのも怖かったです

 

実際予防接種が始まる前は

泥付きの野菜で感染した主婦もいたそうです

 

小さい傷でも ふさがる前は

泥を触ったりしないように気を付けた方がいいと

つくづく思いました

だいたいは泥の中に入れて空気に触れると死ぬような菌らしいのですが

今でも世界では年間20万人が亡くなっていると推定されています

悪化するまで破傷風にかかったことがわかりにくいし

悪化したら日本でさえ治療が結構大変なので

治療体制が整っていない国でかかったら生死にかかわると思います

 

youtubeにこの体験の一部始終をアップしています

よろしかったらご覧ください


www.youtube.com

 

 

憧れのクレオール料理とラフカディオ・ハーン

前から欲しいと思っていた本をやっと買いました。

5OO冊くらいやっと断捨離したばかりで

本を買うのを控えていたのだけれど

昨年車も手放して図書館にも行けなくなってしまったので…

 

ラフカディオ・ハーンクレオール料理」CCCメディアハウス

 

ラフカディオ・ハーン小泉八雲

ギリシャ生まれアイルランド育ちですが

日本に来る前20年ほど

アメリカで暮らしました。

 

小泉八雲について書こうとすると

逸話が多すぎて何を書いていいかわからなくなります。

6,7年前 松江の資料館に行き

改めて小泉八雲が残した仕事の多さに驚きました

 

小学校では

稲むらの火

という絵本を時々読み聞かせしておりました

 

三陸津波が来るのを知らせるために

自分の田んぼの稲に火をつけて

急を知らせた地主の話で

後世の人に伝えるべき話(実話)を拾ってくれた

小泉八雲に感謝の念を覚えます

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クレオール料理の定義もいろいろあって

上手く説明する自信が無いのですが

アメリカに移住したフランス人やスペイン人やアフリカから連れて来られた人々の

中で生まれた料理

 

私がクレオール料理という言葉を初めて知ったのは

風と共に去りぬ」の小説の中だったと記憶しています。

今手元に本が無いのでお伝え出来ないのですが

その描写が本当に美味しそうで

いつかニューオリンズに行ってみたい

クレオール料理を食べてみたい

と思いながら果たせずに年をとりました

 

で、この本を手に入れて何か作ってみようと思っているのですが

今のところ

読んでいるとお腹がすく

間食する

というパターンに陥っています

 

中にウミガメの料理がいくつか出ています

ウミガメの肉は美味しいらしいですが

記憶に新しいところでマダガスカルでの集団食中毒がありました

タンザニアとか毎年あるようですね

 

日本だと小笠原ではウミガメのお寿司が食べられるようです

小笠原にもいつか行ってみたいと思いながら

まだ果たせずにいます

 

これは島根の写真でスマホに残っていたもの

淡水魚博物館のカイカムリ

背中にスポンジをしょっています

海の中では海綿を自分に合わせた大きさに加工して

背負うようです

可愛かったですが検索しても出てこないので今はいないのかも…
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島根の旅行 楽しかったです

自動車を運転して鳥取から山口へ抜けたのですが

長くてへとへとになりました

と山口の人に言ったら

「島根はながーいよ」

とおっしゃっていました

 


www.youtube.com

サンタクロースはいる

大変 久しぶりに ブログを 書きます

 

今日は サンタクロースにまつわる 絵本を ご紹介します

 

 

新聞や テレビでも 報道されたことがある本なので

ご存じの方も たくさん いらっしゃるかもしれません

小学校の図書室に置いてあることも多いです

 

新聞社ニューヨーク・サンに届いた

8歳の女の子からの質問に答えて

記者のフランシス・チャーチが

1897年12月

社説に書いた文が本になっています

 

大人にも響く というか 大人により響く

社説だったかもしれません

 

この質問をした女の子は

その後 先生になったそうです

 

私が子どもの頃に読んだ本で

クリスマスについて書かれていることが

特別心に残っているのは

ローラ・インガルス著の「大きな森の小さな家」シリーズです

 

このシリーズもご存じの方が多いと思いますが

著者とその夫が大人になるまでの実話を元に書かれていて全9巻にもなります

シリーズ中 何度も描かれる クリスマスですが

厳しい開拓時代の中

クリスマスにこめる

家族や隣人への思いやりが心に響く

ストーリーの数々で

心に染み入るものがありました

そういえば

この著者のローラ・インガルスは

一人娘が従軍記者なども務めた方で

その娘に勧められて このシリーズを書いたそうです

 

もう 半年以上 このブログを書いていなかったのに

毎月 100人くらいの方が

このブログを 訪れて下さっていることがわかり

大変 嬉しくなりました

自分への 少し早い クリスマスプレゼントのようでした

ありがとうございました

 

ブログを始めたころより

少し忙しくなってしまったのですが

また 少しずつでも アップしていきたいと 思います

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続日本100名城125 小机城 竹灯篭祭り

 

 

 

 

 

読まずにいるのはもったいない歴史小説

それまで知らなかった歴史上の人物の話を読んで

「こんな人がいたんだ」

と驚くことがあります

 

その驚きは恋が始まるときと似ています

遠い記憶だけれど…


歴史小説の中の人物にの惚れこんでしまうと

歴史小説がフィクションだということを

忘れてしまいます


フィクションだとわかっていても

その人物像が本物のその人として心の中に残り続ける


本としての印象よりも

「人」の印象が残る歴史小説


アマゾンで桁違いの星がついているのを見ると

今更私が紹介するまでも無いとも思うのですが

あえて紹介させてください


中高生という若い時期にこそ

読んでほしい「大人の仕事」が書かれています

 

 

壬生義士伝浅田次郎著 新選組藩士 吉村貫一郎

壬生義士伝は他の二作品と比べて脚色の濃い作品

吉村貫一郎は実在の人物ですが

ほとんどフィクションのようです

それがわかっていてものめりこんでしまうのは

「そうあってほしい」と思う

人間の姿が描かれているから


壬生義士伝」は泣ける、とにかく泣けます

家族のために頑張って働いている人が読んだら

たまらないと思います

自分のために泣いてしまうのかもしれない


映画の方も泣かされました

本があまりにも良かったので

映画は見ないでおこうかとも思いましたが

中井貴一は役者ですね


ストレスがたまっていて

泣いてすっきりしたい方にも

おすすめです

 

「峠」 司馬遼太郎著 長岡藩家臣 河合継之助

峠は昨年映画化されましたね

主演は役所広司でした

まだ見ていません

最近、後からいつでも見れると思うと

映画館まで足を運ぶことが少なくなっています

後で、映画館で見れば良かったと

後悔することもあるんですが


15年以上前ですが

18代目中村勘三郎さん主演で

ドラマにもなりました


幕府側として

新政府軍と死闘の末に亡くなった河合継之助

地元長岡藩での人気はあまりないそうですが

「峠」は当時、幕府につくか新政府につくかで

苦しい立場にあった藩の事情なども見えますし

司馬遼太郎の作り上げた河合継之助は

格好良いです

 


今年3月、屋久島に行った帰りに鹿児島に立ち寄ったのですが

新政府を相手に戦った西郷さんは

鹿児島ではまだ生きているかのような人気ぶりでした

対して大久保さんは本当に…

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鹿児島 K10カフェより銅像を見る

 

鹿児島はなにか

日本の中の独立国のような雰囲気がありました

 

かって秘密主義で

薩摩に行って無事に帰ってくる人がいないことから

行方知れずの帰って来ない人のことを

「薩摩飛脚」と呼んだと

確か、司馬遼太郎の本で読みましたが

そんな時代がまだ続いているような独特の空気を感じました

 

私の親類が居て

宮崎にはよく行くのですが

おとなりの県でも雰囲気がぜんぜん違うと思いました

 

時間がなかったのでタクシーを利用したのですが

これは良かったです

ほんの短い距離を乗っただけで

観光を頼んだわけでもなかったのに

どのタクシーの運転手さんも

いろいろ説明して下さって楽しかったですね

お支払いをした後に降りてきて

「ここで撮るといいんだ」と言って

写真を撮って下さった方までいました

人が暖かくて

住みたくさえなりました

 

「落日の宴」 吉村昭著 勘定奉行 川路聖謨

明治維新平安時代の人がビルをたてたような

奇跡のような国家建設ですが

その明治維新を成し遂げた若者たちを育てたのは

250年続いた徳川幕府

徳川幕府があっての明治維新でもありました

 

徳川幕府が終焉を迎える前

各国の黒船に幕府は苦悩していました

その時、勘定奉行の職にあり

日露和親条約を結んだのが

川路聖謨(かわじとしあきら)です

 

アジアの歴史を見ると

日本が植民地にならずにすんだのは

偶然ではない

と思います

 

明治政府が躍進する前には

徳川幕府で各国と難しい交渉にあたっていた

川路聖謨のような

幕臣の努力も下地としてあったのでした

 

吉村昭は史実を忠実に書く作家として

定評がありますが

読み手の方も、救いのない事実に

向き合わなければいけないこともあり

重い読後感が残ることもあります

 

が、吉村昭は読むべき本を

読まなければいけない本を

多く残した偉大なる作家です

 

中学校の図書館に異動した時

吉村昭の本が1冊もなくて

呆然としました

 

人気が無くても置いておかなければいけない本

読んでもらう努力をしなくてはいけない本

というものがあると思います

 

本屋に無いのは

商売ですから仕方が無いとしても

図書館に無いのでは司書がいる意味が

ないのではないでしょうか

 

「さよなら、田中さん」で

中学生作家として著名になった

鈴木るりかさん

その文章の上手さについてはここでは語りませんが

その著作「さよなら、田中さん」の著者紹介に

好きな作家 吉村昭

と書かれているのを見て

流石、と思ったのでした

 

こんな中学生が居るのですから

司書の方も覚悟が要ります

中高生に推し~平安時代がわかる歴史小説~

歴史小説は数多く出版されていて

本屋でも結構なスペースを占めていますが

江戸時代のものが多く、次に鎌倉時代室町時代

といった感じで平安以前の歴史小説は非常に少ないです


そんな中で、平安時代藤原氏一族を

人間味あふれる人物像で描いた

永井路子の平安朝三部作は貴重な歴史小説です

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「王朝序曲」は藤原氏北家の隆盛を築いた藤原冬嗣

「この世をば」は藤原氏全盛期の藤原道長

「望みしは何ぞ」は藤原道長の息子である、藤原能信(よしのぶ)


最後の「望みしは何ぞ」の主人公を

藤原道長と倫子の息子で平等院を建立したことでも知られる藤原頼道でなく

同じく藤原道長の子どもでも倫子より格下とみられていた明子との

息子である藤原能信にして、

能信の鷹司家(母倫子)の兄弟である

頼道らへの屈折した思いを描いたことで

面白さが増しています

読み手にとっても藤原氏への理解が

深いものになると思います

 

文庫本のあとがきによると永井路子

平安時代の歴史書大鏡」を読み

能信を主人公に据える着想を得たそうです

 

この本を三谷幸喜さん脚本で

大河ドラマにしてほしいと個人的には思っています


「この世をば」とか「望みしは何ぞ」

という題名を見ると

昔の文体で書かれているのじゃないか

読みにくいのじゃないかと

中高生は思うみたいなのですが

歴史小説の中では

どちらかというとライトノベルよりに

読みやすいと思います


それにしても、この三部作

今は電子書籍か図書館で借りて読むしかない

本屋さんにきらしてはいけない本だと思うんですよ

他に代りがないのですから

中央公論社様、どうか再販してください


その他の本も

この間までほとんど買えなかったのですが

先日本屋さんに行ったら

文春文庫さんから

鎌倉時代を描いた直木賞受賞作「炎環」

「流星 お市の方」などが再販され

平積みされておりました

永井路子さんは今年の1月に亡くなられ

追悼記念ということで再販されたようです

 

永井路子さんは大正生まれで

作家になる前は小学館に勤めていて

川端康成の担当をされていたこともあるようです

 

追悼記念の文春文庫さんの再販された中に

私が最も再販してほしかった

「美貌の女帝」は残念ながらありませんでした

美貌の女帝というのは奈良時代

未婚で女性天皇となった元正天皇のことで

持統天皇の子どもの草壁皇子元明天皇の間に

生まれた娘になります


この本を読むと権力が

蘇我氏から藤原氏へと移ったいきさつが理解できます


奈良時代を描いた歴史小説も珍しいですし

女性の天皇を主人公にした歴史小説も珍しい

しかも面白い

妹と結婚した長屋王と恋仲だった設定になっていて

韓国だったら絶対にドラマ化されている

と思う作品です

文春文庫様、なぜ再販してくれなかった…

元正天皇が美貌というのは設定ではなく

史実のようです


永井路子奈良時代が舞台の本で

今本屋さんで買えるのは

「氷輪」で鑑真について書かれた本ですが

上の三部作や「美貌の女帝」が

完全な小説であるのと違って

鑑真や歴史上人物への考察が文中に入ってきて

大人向けで少し読みづらいかもしれません


学校の図書館では

再販されていない本でも

古本で買える本であれば

事務や経理の方に相談すると

買って下さることがあります

 

が、年々細かくなる日本史を

勉強中の中高生のためにも

是非再販してもらいたいものです

 

大学受験のための

日本史一問一答も世界史一問一答も

私が受験したころよりずいぶん分厚くなっていて

あんなのを見ると

子どもに「もっと勉強しなさい」とか

言えなくなります

 

せめて詰め込むんじゃなくて

楽しく理解してほしい

 

今の子どもは

本当に本を読む暇がなくて気の毒だし

こんなのはよくないと思います

 

gakkoushisyo.hatenadiary.com

 

中高生に推したい歴史に強くなる小説

小学校から中学校に移動したばかりのとき

中学生の図書館利用が

小学生と比べてあまりにも少なくて

張り合いをなくしてしまいました


そんな中で

司馬遼太郎歴史小説にはまって

目を輝かせて借りていく子どもが居て

こちらもはりきって図書館に置いていなかった

司馬遼太郎の著作を注文しました


自分も高校生のときに司馬遼太郎にはまって以来

歴史好きになり今に続いています

今の政治に続く明治維新の歴史を

知ったことで政治にも深く興味を持つようもなりました


世界史の方はマンガから入りました

ベルサイユのばら」でフランス革命

オルフェウスの窓」でロシア革命

この2つのマンガを中学生のときに読んだことで

世界史というものに興味が出て

拒否感なく学校の世界史の授業を聞けるようになったと思います

子どもに薦めると「絵が無理」とか言いますが

一度読みだすと「やっぱり面白い」と言って最後まで読んでくれます

どうして「絵が無理」なのか私にはさっぱりわかりませんが…

 

後に司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んだ時

オルフェウスの窓」を読んでいたので

日露戦争におけるロシアの状況が少しはわかっていて

より理解しやすかったです


司馬遼太郎については

日本を美化しすぎていると言う人もあって

最近評価が分かれているようですが

読みやすくて面白くなければ

多くの人には読んでもらえません

 

私史上、NHKの大河ドラマで最高に面白かったのは

司馬遼太郎原作の「花神」でした


以前週刊誌に

司馬遼太郎が1冊の本を書くためには

多くの人が動いていて

資料集めだけで2千万円くらいかかっている

と書いてあっていてその額に驚きました


今は図書館のアーカイブ化と公開が進んで

以前よりは資料を集めやすくなっているかもしれませんが

歴史小説を書く、ということは

とてつもなく大変な作業なのでしょう

その作業を経て面白いところだけを読者は享受できる

有難いことだなと思っています


明治維新期に強くなる司馬遼太郎の本


明治維新から日露戦争までの日本の歩みを知ると

「奇跡」という言葉以外出てきません

わずか40年足らずで

斜陽していたとはいえ大国と互角に戦えるまでの

近代国家を作り上げた

しかも、後の戦争とは違い

最初からどうやって戦争を終わらせるかという

見通しを持って戦争に臨んでいた


自分の人生も終盤に入ってきて振り返ってみると

30代までは「青春だったな」と思います


その「青春」を命がけで真剣に国造りに捧げた若い人たち

奇跡のような明治維新をなしとげました


だからこそ、この明治維新期の歴史小説

高校生の時の自分に響いたのだなとも思います


やはり中高生には鉄壁のこの2冊をまず薦めたいです

実際には両方とも長い小説なので2冊ではないのですが

入り込めたら面白いのであっという間に読んでしまえると思います


竜馬がゆく

坂の上の雲


日露戦争は日本が勝利した訳ですが

敗戦したロシア艦隊について描いた

吉村昭の作品に「海の史劇」があります

こちらも合わせて読むとよりいっそう理解が深まります

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鹿児島 

日露戦争 連合艦隊司令艦長 東郷平八郎生誕の地


これらの本に加えて

西郷隆盛大久保利通を描いた「翔ぶが如く」と

高杉晋作を描いた「世に凄む日々」を読めば

明治維新に相当強くなるでしょう


何年か前、高杉晋作を生んだ山口県の萩に行きました

萩は趣があり、人が親切な美しい街でしたが

関ヶ原の戦いで負けて追いやられた外れ

といった感じの予想以上に狭く低い土地で

この地からよくも高杉晋作やら木戸孝允やら伊藤博文やら

曹操たる人物を出したものだと長州藩の凄さを改めて感じたのでした

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萩 松下村塾


自分が個人的に好きな

司馬遼太郎作の明治維新期の小説は

日本の軍神「大村益次郎」の生涯を描いた「花神」と

蘭学医「松本良純」と弟子の「伊之助」の話、「胡蝶の夢」です

読みながら「面白すぎる」とつぶやいてしまった2作です


司馬遼太郎は歴史上の人物像を作り上げるのが

本当に上手いと思います

司馬遼太郎の作品を読むと

作り上げたイメージ以外では

その人物を想像することが出来なくなってしまいます


数年前靖国神社に初めて行ったのですが

境内に大村益次郎銅像がありました

銅像が高すぎてよく見えなかったのが残念でした

 

司馬遼太郎の作品の中で

1番繰り返し読んでいるのがこの「花神」です

司馬遼太郎の作った人物像の中で

自分が1番好きなのが大村益次郎なのだと思います

 

この「花神」に、シーボルトの娘イネが登場します

大村益次郎は軍神として知られていますが、元は医師であり

イネは一時期、大村益次郎の元で医師になる勉強をしたのでした

大村益次郎と恋仲だったという説もあります


吉村昭の「ふぉん・しいほるとの娘」を合わせて読むと

面白いでしょう


今日は吉村昭永井路子の小説や歴史漫画や

イタリア史の塩野七生についてなど

もっと書こうと思っていたのですが

司馬遼太郎明治維新期についての作品だけでずいぶん長くなってしまいました

この次のブログで又続きを書きたいと思います

 

オードリー・タンさん、ありがとう

いつからだったか

「こんなことだったら昭和の暮らしに戻りたい」

と思うようになりました


こんなことだったら

というのは


スマホやパソコンがないとままならなくなってきた暮らし

youtubeを見て不安を煽られる暮らし

人のいないレジで自分でお会計をしなければいけない暮らし

明細が紙で届かない暮らし


これは、自分の視野が病気で欠けてしまったり

若いころより忘れっぽくなって

今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなったことで

余計に不安が助長されてしまったのだと思うのですが

「昔は何もかも単純でわかりやすくて良かったな」と思ってしまうのです


一方、若いころ、今みたいに情報を得ることが出来れば

もっと自分に合った道を見つけられたのではないか

とも思っているのですから勝手なのですが…


いつからだったのかは

多分あの時

ということがいくつかあります


パソコンに出てきたメッセージかなにかを

うっかりクリックしてしまったらしく

何かを勧誘するポップアップが画面にひっきりなしに出てくるようになったとき

これをパソコンから除去する方法がなかなかわからず

パソコンを使いながら悪態をついていました


それから

youtubeを見られるテレビに変えて

今すぐにでも大不況や大地震が襲ってくるような

自分のスマホやパソコンがのっとられてしまうような気がする

動画が目に付くようになったとき


グーグルやアマゾンや銀行から届くメールは

現れるメッセージは本物なのか

自分の判断力は大丈夫なのか

これからもっと時代が進んだら自分はついていけるのか


あまりに不安が大きくなってきたので

無視できなくなり

グーグルとスマホの解説書を買ってきました


これらの本を読んで

わからなかったことがスッキリ整理された部分もあり

気分はだいぶましになりました


ちょうどそのタイミングで読んだ本が

私を不安の沼から救い出してくれました


オードリー・タンさんの「デジタルとAIの未来を語る」という本です

 

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AIを人間の仕事を奪う脅威とは考えず

ドラえもんのようなもの

自分の仕事をもっとよい仕事を楽にできるように

手助けしてくれるものと

考えたらいい

というアドバイスがイメージしやすく

腑に落ちました


オードリー・タンさんは

台湾でコロナ対策のお仕事を引き受ける条件として

全ての情報を

その対策を決めるまでの経過も全て

公開することを要求されたそうです

このことが、コロナ対策を進める上で

台湾が成功するための重要なカギとなった

国民との信頼関係を作っていきました


スマホなどを活用した対策も打ち出しましたが

全ての人を取り残さないというスタンスで

スマホが苦手な高齢者も利用できるような方法も

同時に打ち出したそうです


また、自分たちの打ち出した政策に対する意見も

吸い上げるしくみを作り

更にそれを政策に反映させていったそうです


全ての人の意見に耳を傾けることで

党派を超えた協力を集めています


オードリー・タンさんは政治家ではありませんが

オードリー・タンさんのような政治家が増えたら

世界はもっと良い方向に向かっていくだろうと思います


私はこの本を読んで

本当に久しぶりに未来に対して希望を持てた気がします

 

そして自分も

昔は良かったなんて言っていないで

今、出来ることを前向きにやっていこうという

気持ちになりました

ありがとう、オードリー・タンさん

 

これからの時代をになう中学生や高校生にも

ぜひ読んでもらいたいと思いました