元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

そのクレームが学校をつまらなくする

教員の長時間勤務に抜本的な改革が必要だと
自民党の特命委員会が指摘したとニュースで言っていました

そうそうその通り
必要なのは抜本的な改革です

小中学校で司書として働き始めて
教育の現場が
昭和より悪くなっていると感じたことは

勉強についていけなくなった子どもが
放置されているということ

5年生の子どもが
「促音と拗音が読めなくて困っている」
と打ち明けてくれたことがありました
少し教えたらすぐに読めるようになりましたが

6年生の図書委員の子どもに
5cm間隔で紙に線を引いてくれるように頼んだら
「定規ってどうやって使ったらいいかわからない」
と言われたこともあります

二人とも性格の穏やかな優しい子どもでした

担任の先生が仕事を持ちすぎている上に
一クラスの人数が多すぎるのです

クラスに一人か二人か手のかかる子どもがいたら
手のかからない子どもには目が届かなくなってしまいます

クラスの子どもが一人授業を抜け出してきているのに
先生がまったく気が付いていないということもありました

司書も、図書の時間に
「資料の調べ方」や「図書館の分類について」など
授業の一端を任されることがあります

本当は全部任されることが殆どですが
それはいけないことになっているそうなので
一応一端と言っておきます

クラス全員に興味を持って聞いてもらい
クラス全員に理解してもらい
将来授業を受けたことが役に立つような

そんな授業にしようと思うと
準備するだけで何時間もかかってしまう

毎日何科目も、指導要項にそった高度な授業をこなしている
担任の先生方が
いったいどうやって準備しているのか見当もつきません

しかも、先生の仕事は授業だけではないから恐ろしい
行事や旅行や父母会の準備から地域との交流
部活動・委員会の顧問
教材購入やら備品管理やら、いろんな委員があって
教育委員会や科目の研究会や研修など
そしてたくさんの報告書の作成

端から見ているだけでこんな感じです

一クラスの人数が減れば
先生の仕事も減るのです

「威圧」でしかクラスをまとめられないと、追いつめられる先生も減るでしょう
そしてなにより、とりこばされる子どもが減るでしょう

それなのに、私の勤めていた自治体では
小学校がどんどん統合されていくばかり

「統合なんてしないで一クラスの人数を減らしてくれ~」
と思いました

確かに予算は減っているでしょう

でも、教育は国の未来そのものではないでしょうか

思い出すのは私が地域の防災委員をやっていたとき
地域ごとに防災イベントを企画しなければならないのですが
その説明会に消防署に行った時

「とにかく予算を使い切って下さい。
でないと来年から減らされますし、
残されても処理が面倒くさいので」笑い

私は笑えなかったです
だって、血税ですよ
無理に使わないで必要なところにまわせばいいじゃないですか

そういう仕組みになっていないんですね
何か、方法はないのでしょうか

昭和と比べて悪くなったと思ったもう一つのことは
先生と保護者の関係です

子どもの父母会に行くと
「うちのクラスだけ進み方が遅いみたいだけど大丈夫なんですか」
と先生に詰め寄る人がいました

国語の授業に熱心な先生に依頼され
特別授業を手伝ったら
他のクラスにやらないことをするなと
管理職に怒られました

保護者からクレームがくるからです

だから、勉強についていけない子どもを
残して勉強させたりも出来ないそうです

勉強について行けない子どもを残して教える
私が子どもの頃は教室で当たり前に見られた光景でした

こんなクレームをつけてくるのは
先生の仕事を、学校の仕事を
「サービス業」と勘違いしているから

隣のクラスでやっていることをやってもらえなかったら
隣のクラスのスピードで授業をやってもらえなかったら
自分の子どもが特別に勉強を見てもらえなかったら
「損害を受けた」と思うのでしょう

そのクレームが
先生たちの自主性の芽を摘み
つまらない学校にしていることに
気が付いてほしいです

ああ、今日は吐いてしまいました
まだまだ吐きたりない部分もありますが
今日はこのへんで

 

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