元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

シンキングエラー

「いじめ対策」として大阪の小学校で行われている

「シンキングエラーについての授業」をテレビで紹介していました


いじめにおけるシンキングエラーとは

例えば

「いじめられる方にもんだいがある」

「ただふざけているだけ」

「みんながやっているから」

のような考えのことで

「自分が正しいと思っている考えが間違っていることもある」

ということを教えて

いじめの予防に取り組んでいるそうです

こどもたちは

「それ、シンキングエラーだよ」などと

注意しあうようになったといいます


この注意の仕方は

子どもたちの言いあいでありがちな

「お前が悪い」

という人格を否定することばではないところがいいです

 

私は関東の小学校に勤務していましたが

「シンキングエラー」という言葉は

学校では一度も聞いたことがありませんでした


学校図書館に来る子どもから

いじめの相談を受けることもありましたし

いじめを目撃することもありました

図書委員会の中でいじめが発生したこともありました


「いじめは悪いこと」とハッキリと大人が発信すること


自分はこれが大事だと思っていました


そして、私のいた学校では、この発信が少ないと思っていました

担任の先生に報告して

「いじめとまではいかない」

「いじめられる方にも問題がある」

と返ってきて、がっかりしたこともありました

 

そういった場合は自分一人で自分なりのやり方で対応していました


また、いじめに関する本は常にディスプレイするようにしていました

「いじめはよくないことだよ」

というメッセージ代わりに

 

「いじめと戦おう!」「いじめから脱出しよう!」

 

この本に載っているやり方でマウントしてくる管理職の態度が

180度変わって効果に驚いたことがあります

「その人の前で他の人と仲良くする」という方法なのですが

 

「いじめない力、いじめれれない力」

 

「いじめない力」という「ことば」がいいです

「それも、力なんだよ」と言っているみたいで

 

「死ぬんじゃねーぞ!!」

「もしキミが、人を傷つけたらな、傷つけられたなら」


いわゆる「いじり」の段階で放置しないことも大事だと思っていました

「いじり」の段階で、いじられている方に個別に話を聞くと

「本当は嫌だ」と打ち明けてくれました


「いじめる側」の子どもの心の闇が

何からきているのか

私たちは全てを知ることはできません

 

ただ「いじめは悪いこと」と大人がはっきり示すことで

本人が少しでも自分と向き合い

「いじめない人間」に変わってくれることを望んでいました

 

この「シンキングエラー」について

勤めていた時に知っていたら

掲示したり、図書便りに書くことも出来たと思い

知らなかったことを残念に思いました


このシンキングエラーと自分も向き合ったことがあります


 

「自分の小さな箱から脱出する方法」と姉妹本

 

近い人との関係について悩みを抱えていた時

読んだ本です

問題は私の考え方にあったのだと気づかせてくれました

 

「アーティストのためのハンドブック」


この本は最近図書館で見つけて借りました

二人のアーティストが7年かけて書き上げた本だそうです

副題として「制作につきまとう不安との付き合い方」

これは美術作品の制作について書かれた本なのですが

私はつい、この美術作品をブログに置き換えて読んでしまいました

というのも、ブログというものを始めて以来

だんだん読んでもらいたいという気持ちが強くなり

自分か当初書きたいと思っていたものから外れていく

そんな自分に不安を抱えていたからです

「シンキングエラー」とまでいかなくても

自分の考え方の癖に気が付くために

読書を通じて自分以外の人の考えに

触れるようにしよう

と、改めて思ったのでした

 

それにしても、シンキングエラーということば

日本語にしてみようと思っても

しっくりくることばが見つからない

外来語って不思議な力をもっています