元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

読書感想文ってなんだ

最近「読書感想文の書き方」に関する本がたくさん出ています

学校では夏休み前に定型で埋め込んでいくための用紙を

配っている先生もいます

 

この「定型」が広まってから

子どもの感想文がつまらなくなった

と私は思っています

 

日本中どこへ行っても

駅前にあるのは同じ店

川はぜんぶ護岸工事されて同じ景色

それには利点や便利さも確かにあるだろうけれど

なんかつまらない

それと似ている

 

なぜ「定型」が広まったか

それは、読書感想文が苦手な子どもが多いから

 

もう読書感想文を書くことは

「読みを深める」とか

「自分をみつめる」

とか本来の目的からは離れ

「どうやって3枚の原稿用紙を埋めるか」

みたいなことになっている

 

読書感想文の課題図書っていうのがあるのも

どうなのかな

せめて、図書館や本屋に行って

自分にピンとくる本を選んでみた方が

たとえ、読んでみたら

予想と違った内容だったとしても

書くことがあるんじゃないのな

とも思う

 

そうは言っても、かくいう私も

学校司書だったときには

毎年、夏休み前に

課題図書の紹介と一緒に

「読書感想文の書き方」

なるものを

図書便りに載せていました

 

そのとき書いていたことは

「読書感想文は自分のことを書く作文だ」です

 

とにかく、本を読んで

主人公と自分を比べてもいいし

本を読んで思い出した

自分の経験でもいい

ふだんは口に出さないけれど

本当は思っていることを

書こう

言葉にするのが難しいきもちを

どうやったら人に伝わるか

どんな言葉なら人に伝わるか

考えてみよう

どうしても思いつかなかったら

言葉にするのが難しいきもち

と書いてもいい

とにかく自分のことを

できるだけ詳しく書いてみよう、と

 

ただこれは、小学校1、2年生には難しい

小学校1、2年生には

過去の文集の中から

いくつかの感想文を選び

本と感想文を実際に読み聞かせて

これが「感想文だよ」と言ってから

「自分のことを書けばいいんだよ」と伝えていました

 

賞をもらって文集にのっているような感想文は

1年生でもちゃんと自分のことが

自分の気持ちが書けているのです

 

実際、賞をもらっているのは

本の感想ではなく

自分のことを深くみつめて

自分の気持ちを書けている文なのに

読書感想文という名称が

読書感想文を書きにくいものにしていると思います


 

「5番レーン」 ウン・ソホル作

これは今年の小学校高学年の課題図書

これで学校図書館にアジアの本が1冊増えますね

 

gakkoushisyo.hatenadiary.com