元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

「手話」の図書分類番号はなぜ変わった?

高学年に分類について話をするときに

よく出していたクイズがあります


分類番号は細かく分類していくと後ろに桁が増えていきますが

日本文学の中には一つの作品に一つの分類番号が

割り当てられているものがあります


913.36

これは、何という文学の分類番号でしょう?


答えが出ないときはヒントを出します


世界中に研究者がいる世界最古の長編恋愛小説です


みなさま、もうお分かりですよね


ではもう一問

913.31


ヒントは世界最古のSF小説です


この2作品の作者

もし、現代に生まれていたら

どんな作品を生み出していたでしょうか

 

分類番号についての話で

もう一つしていたのは


「社会が変わっていくことで、分類番号が変わることもある」という話です


2016年NDC(日本十進分類法)10版で

点字と手話が378「障害者教育」から

801「言語」に、変更されました


これは、単に分類上の話ではなく

社会のとらえ方が変わった

或いは変わるべき、という話かと思います


点字と手話はその使用者にとっては

最初から「言語」であったはずですが


私は10版で変更されたことを知るまで

この分類に違和感を覚えたことはありませんでした

いつもその分類で本棚に戻していた身としては

恥ずかしいことだと思います


SLA日本図書館協議会では、冊数が多い場合には

新しく入ってきたものには801(言語)を付与し、

378(障害者教育)と801の棚両方に、両方に「見よ」表示をつけるよう

言っています(「378も見よ」という具合に)


子どもたちには

手話や点字は言語、という概念を持ってほしい

本来あるべきだった場所にある点字や手話の本を見てほしい

そう思い、すべての点字と手話の本に

新しい分類番号を付与しました


ただ、学校司書が不在の時

以前の場所に慣れている先生が探せない可能性もあります


ですので、やはり「見よ」のサインをつけていました


ルイ・ブライユのことを

勉強する機会がある場合には

そこで、この分類番号の変遷にについての話をするのも

いいかもしれません

 

 

もう古本でしか手に入らなくなってしまった「手話の世界へ」

本を読み進めるうち、豊かな手話の世界が広がります

著者のオリヴァー・サックス先生は映画「レナードの朝」を書いた人で、

脳神経外科医の先生が経験した症例を元に数多くの本を書いておられます。

 

 


 

こちらは、色覚を持たない人々のお話です。

 

 


念のため

913.36は源氏物語

913.31は竹取物語

でした


NDC(日本十進分類法)の本があれば

すぐにわかることですが

この本が無い学校図書館もたくさんあると思います


私が、通信教育で

司書の資格をとるために勉強していた時

教授がこのことを嘆いていました

チャットでの授業で、教授のお声だけが聞こえてくる授業でした


私はこの時に使っていた教科書

「情報資源組織法」を手元に置いて

巻末の分類表を見ながら

2桁分類を3桁分類に移行する作業をしました

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新版のポプラディア百科事典には

項目ごとの記述に分類番号が追加されましたね


調べ学習の時に

百科事典でまず大まかなことをつかみ

次に専門書を探す

という流れに持っていきやすくなりました


世界最古の図書館と言われているのは

シリアのニネヴェの図書館

既に分類作業が行われていた跡があるといいます


その仕事をしていた方たちに

時代を超えて親近感を抱いてしまいました

 

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