元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

観察記は古くならない

図書館において「最新」と題名についた技術系の本は寿命が短い

時間がたつと「看板に偽り有」状態になってしまうから


科学も大きな発見や変更があると

図書館にあるそれ以前の本は下げざるを得ない


例えば冥王星が惑星になっている本

恐竜に羽毛が生えていたことが判明する以前の本など


理科の分野は特に注意が必要ですが

そんな中で

ファーブル昆虫記は初出版から140年を超えて

未だに再出版されています

 

ファーブル昆虫記はいつ読んでも古さを感じない

観察したまま、事実だけを書いているものなので

時代を超えることができる

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ファーブル昆虫記の虫たち(1) [ 熊田 千佳慕 ]
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画家の熊田千佳慕(くまだちかぼ)さんも野原で長時間観察して絵を描いた方です

 

20年程前、放送大学で何科目か受講したことがありました

「動物の行動と科学」という科目を受講している時に薦められたのが

動物学者コンラート・ローレンツによって書かれた「ソロモンの指輪」という本でした

 


それまで、動物行動学について全く知識がなかった私が

入門として読むのにはうってつけの読みやすい面白い本でした

夢中になって読みました


特に面白かったのはカラスについての観察記で

駆け落ちするハシブトガラスの男女(雄と雌)の話てす

出会いから駆け落ちまで

人間と変わらぬドラマ模様

カラスを見る目が変りました


仕事場まで、毎日土手を自転車で通っていたことがありました

ある日、川べりにカラスが何羽か止まっていて川を眺めているように見えました

その時なんとなくカラスに話しかけてみたくなって

「ねえ、なに見てるの」

と話しかけてみたのです

明らかに変な人なのはわかっていますが

周りに誰もいなかったので

結構マジな感じで本気で話しかけました

そうしたら止まっていたカラスの1羽がびくっとしたように見えました

そしてグルリと首を回して私を見たのです

私の方も話しかけはしたけれど、その目がとても怖かったので

あわてて自転車を漕いで振り向かずに帰りました


それから、1週間くらい

私が土手を自転車で通ると

カラスたちが大騒ぎして飛びまわることが続きました


なんだか結界を破ってしまったような気がしました

 

「ソロモンの指輪」という題名

ファンタジーかなと思ってしまいそうです

ソロモンは紀元前にイスラエルに実在した王様ですが

その王が「動物と話せる指輪」を持っていたという伝説にちなんだ

題名だそうです


中学校で動物の本を借りに来る子どもに

よく薦めていました

 

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