元学校司書のおぼえ書き

学校図書館のこと 本のこと そのほか思いつくまま

改めて読みたい「拒絶された原爆展」

1995年、広島原爆投下から50年を経て

ワシントンのスミソニアン博物館で企画されていた

原爆を投下した爆撃機エノラ・ゲイ」と原爆の展示が中止に追い込まれました


 


この本は、当時スミソニアン博物館の館長として

この展示を企画し準備を進めてきたマーティン・ハーウィット氏が

どのような展示を企画していたのか

それが中止に追い込まれるまで、どのような経緯があったのかを

出来る限り客観的な視点で事実だけを伝えようと書かれたものです


戦後生まれの人間として

「原爆投下」を投下側の国であるアメリカの人々がどのような

とらえ方をしているのか

博物館の展示に対しどのような政治的意図が働いたのか

を知ることができただけでも

この本を読む意味があったと思いますが

一つの企画展を実現するまでに

想像以上の調査や吟味が繰り返されていること

そして、館長であった著者が客観的であろうと努めている姿勢

に大変感銘を受けました

 

この企画展の中止から20年後

バラク・オバマ氏が広島で演説をすることになるとは

この本を初めて読んだときには考えられませんでした


そして、昨日

G7が広島で行われ、首脳らが原爆資料館を訪れました

ここまで来るのに80年近くの歳月を要した訳です

 

昨年、子どもから学校で

「レポートを複眼的に書け」と言われたが

どういう風に書いたらいいかわからない

と相談されたことがありました

 

そのことを思い出し

子どもに

「この本がいい例になるかもしれないよ」

と、遅まきながら、この「拒絶された原爆展」を渡しました

 

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